神戸大 鈴木竜太教授の「関わりあう職場のマネジメント」講演会

ゼミの先生から案内をもらい、先日、組織学会定例会に出席した。
日経・経済図書文化賞を受賞したこの本はとても気になっていたので、
楽しみに出かけた。

関わりあう職場のマネジメント

関わりあう職場のマネジメント

感想としては、とても明快なメッセージで、データに基づいた論理展開で、
実務側としても納得度の高いものだった。(私ごときが言わなくてもいいような感想・・・)
大変面白く拝聴した。

趣旨とは少しずれるかもしれないが、一番興味を引いた主張は、
「あらゆる問題をリーダーシップに帰着するのは安直すぎるのではないか、
すべてリーダーが解決すればいいという話になってしまう。そんなスーパーマンばかりではない。
その前にマネジメントで何かできないか」
という問題意識。
自分も講演を聞きながら「リーダーシップとの関係はどうなんだろう」という疑問を
抱いたので、目からうろこのご発言だった。
確かに、リーダーに頼り切るのではなく、組織の仕組み(ここでは職務をどう設計するか)という部分でコントロールできたほうが汎用性が高いし、組織としても強固だ。

それから、先行研究の分野が幅広いことにも驚いた。
経営学はもちろん押さえられていて、さらに公共哲学、ハバーマスユルゲン・ハーバーマス - Wikipediaなども引用されている。
この分野ではそれが当然なのかもしれないが・・・
アンテナを高く、どんなことでも自分の研究に還元しながら研究に取り組まれているのだろう。

組織・職場・個人というカテゴリー分類が明示されていたことも、ヒュームの『限られた思いやり』という概念も含めて
職場という単位の重要性。今の会社で言えばチームだろうか。
いや、関わり合いの範囲で言えば、職場という概念を超えて組織でも関わりあっている。
相互に支援しあう。今の規模だからできるのかもしれないが、
今の会社の強みの一つとして、職場という単位も大事にされながら、職場≒組織(会社全体)という側面も保たれ、「関わり合い」が実現されていることがあるかもしれない。
具体的に言えば、会社全体で事例、スキル、情報をすぐに共有しあえる関係が築かれているということだ。

(本自体は読めていないのに書くなという話ではあるが・・・)関わり合いの程度が
どれくらいであれば一番効果的なのかということは疑問として残った。

ゼミの先生もおっしゃったが、せっかく筑波大学大学院を通じてアカデミックの世界に触れることができたのだから、少しでも関心を持ち続けることは、大げさに言えば、実務とアカデミックを結び付けるという使命でもあり、自分の強みにもなるはず。

日本の経営学は明らかに実務への貢献という面では少ない。
微力ながらアカデミックの知見を実務に生かすということを忘れずにいたい。