【本】生き方の不平等

生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書)

生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書)

岩波新書だけあって、非常に言葉が丁寧に使われている印象。
論理を少しずつ積み上げながら文章を構成している。

まだ読み終えていないけれど、今後心にとどめておきたいことを書き留めておきたい。

「わが子のみならず他人の子とも我々はつながっている」
「特定の親子関係を超えて、子どもという存在を社会で共有することが必要・・・そこでの中核的な視点が子どもの権利。それは、子どもの存在を社会のなかで位置づけるという社会的想像力によって培われる。子ども自身としての存在価値を認めなければならないという要請でもある」
「特定の親子関係からはなれて自らの可能性を見極める場所の一つが教育の場」

誰もがこれらのことを意識できたならば、
保育園や幼稚園が騒がしいからといって苦情を言ったりしないだろう。だってすべての子は自分とつながっているのだから。
それを「想像」できる力があるかどうか。養えるかどうか。体験がなければその力は身につかないかもしれない。子どもが減ってきた今、その社会的想像力が養いにくくなっていて、そのせいで子どもを社会で育てるということができづらくなり、結果、少子化は進行していくという負のスパイラルに陥っていく。

断ち切るのは教育しかない、と思う。

追記:
「人々の意識をもって政策目標とするのは危険。人々の意識の背景にある制度や構造のメカニズムを明らかにせずに、なぜ人々がその意識を持っているかを明らかにすることはできないから。」
そう、やっぱり、制度や構造が意識を規定する。そんなに人の意識は孤立していないし、強いものでもない。