【本】生き方の不平等 2

概ね読了。
全体的に納得感が高かった。

筆者が主張したかったのは、お互いさまの社会の実現に向けて、ということ。
それを導くまでに「社会的想像力」という概念が提唱されている。

ライト・ミルズの『社会学的想像力』Amazon CAPTCHAと、丸山真男氏の「他者感覚」という概念が根底にある。

他者感覚とは、単に「他人の気持ち」を理解するだけでなく、自らが他者にはなりえず、他者でない自分が他者の立場を理解することの限界を認識することをも意味する感覚だという。

結局、当事者にならない限り、他者の気持ちを理解することは不可能。その限界を認識したうえで、認識するからこそ、自分を自覚することができ、社会の中で自分を相対的に位置づけることができる。「そして当事者であることを万人の中で共有しうる可能性がでてくる」

この、限界を感じながらも他人事としてではなく、社会の問題をとらえようとすることが重要、という部分がまだ深く理解しきれていない。

当事者になりきれないという限界があるのは理解できるが、それを認識したうえで、どのように社会の問題に向き合えばいいのか。相対化することはもちろん社会の問題をとらえる上では重要だろうが、必要十分ではない気がしている。そこをもう少し深く説いてほしかった。