【本】対話のレッスン

初めて平田オリザ氏の本を読んだ。
「対話」の重要性に書かれたこの本は、とても新鮮だった。

コミュニケーションを題材にした自己啓発本の類と比べると(比べるのが失礼か)
何十倍もこの本のほうが説得力や深みがあるし、気づきがある。

そう深み。自分で考えながら、理解しながら読み込んでいく楽しさがある。
そしてはっとするような重要なことも書いてあった。それが以下。

日本人は、対話が苦手。対話とは、他人とかわす新たな情報交換や交流のこと。
すでに知り合った者同士の楽しいおしゃべりである「会話」ではない。

些細なことで気分を害し、相手を論破しようとする態度は、まさに対話ができていない証拠。自戒を込めつつ・・・。

そして今、新しい対話のかたちが求められている。

その対話のかたちは
「あいまいで繊細なコミュニケーションを、省略したり、記号化したり、あるいは機能的にするのではなく、そのままの豊かさを兼ね備えながら、しかも他者(たとえば外国人)にもわかりやすく示すものでなくてはならない」

グローバル化が進む今の時代においてまさに「対話」は重要だと思う。

価値観や考え方が多様で、多様な生き方が認められるべき21世紀は、「伝わらない」ことが出発点なのだ。

だからこそ

私とあなたは違うということ。
私とあなたな違う言葉を話しているということ。
私は、あなたがわからないということ。
私が大事にしていることを、あなたも大事にしてくれているとは限らないということ。
そして、それでも私たちは、理解しあえる部分を少しずつ増やし、広げて、一つの社会のなかで生きていかなければならないということ。
そしてさらに、そのことは決して苦痛なことではなく、差異のなかに喜びを見出す方法もきっとあるということ。