【本】あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?

『「病院」がトヨタを超える日』に続けて読んだ。
この本でも、心に引っかかっていたのは、ボランティアでは何も変わらないという著者の主張。

施しは喜ばれるが、失敗しても責任は追及されない。
ビジネスというお金が循環する仕組みをつくることで、価値を与え続けることができる。
世の中に貢献し続けることができる。

世の中から子どもの貧困をなくしたいという「志」も、これに当てはまるだろうか。
たぶんそうなんだろうと信じている。

この本の趣旨である医療改革については、概ね同意できる。
サービスの受け手=患者がもっと、病院を評価できるようにすべき。そうすれば競争原理が働き、
技術も進歩するだろうし、費用も安くなるのではないか。
そのためには国民皆保険を全廃すべきだという。

この論理は理解できるが、経済格差が広がる中で、医療までも格差が広がっていく、という印象を与えかねない。
著者が主張する医療改革を実施しても、所得水準の低い人たちが不利益をこうむらない、
お金がなくても引き続き、そして今以上の医療を受けられる、という点をもっと強調すべきではないかと思う。