『「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす』を読んで

「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす?愛知方式がつないだ命? (光文社新書)

「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす?愛知方式がつないだ命? (光文社新書)

血縁関係がなくても育てられるのか―。養子縁組に対して抱く疑問の一つだろう。
でも夫婦だって血縁関係はない、でも一生寄り添い、思いやり、愛情をそそぐ。
できるならば血縁関係があるのが望ましいのだろうが、そんなものはなくたって親子になれるのだ。

特別養子縁組」は三方よしの制度、まさにその通りだと思う。
子ども、育ての親、産んだ女性にとっても望ましい形で、そのなかでも特に子どもの利益を尊重するものだ。
施設で養育するより家庭で養育する方が子どもにとって良いというのは誰もが感じることではないか。
でも日本は各国と比べて、里親委託児童の割合が極めて低い。

なぜか。里親がきちんと育てられるのか、産みの親が責任をもって育てるべきだ、などなど批判があるが、
結局は、行政が責任感と能力のある里親を見つけ出し、マッチングさせるというリスクを
避けているだけではないだろうか。
そして、親子は血がつながっていなくてはならないという社会的な通念がはびこっているせいだ。

NHKの「小さき命のバトン」でも取り上げられていたように、「特別養子縁組」は徐々に注目されつつあるはず。
行政のシステムが整えば、どんどん広がっていくはずだとそう願いたい。
価値観を変えるよりもまずシステムを整えた方が早い。システムを整備することは価値観を変えることにも
つながっていく。